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はじめに本調査は平成29年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)の補助を得て、一般社団法人日本福祉用具供給協会が実施したものです。福祉用具は、利用者が可能な限り居宅において自立した日常生活を営むことができるよう、生活機能の維持又は改善を図り、状態の悪化の防止を図るとともに、介護者の負担軽減を図る役割を担っています。福祉用具を利用した場合の生活機能の維持・改善状況等については、過去より調査研究事業が実施されているところですが、調査件数や評価方法の面において一層の客観性が求められています。本調査では、介護保険制度における福祉用具サービスの利用効果について一層の客観性に配慮して調査を行いました。具体的には、調査客体数の最大限の確保を前提とし、生活機能の維持・改善状況等を幅広く網羅した調査を実施しました。また多職種連携の観点からリハ職等の知見も幅広く取り入れ調査を補完しました。福祉用具利用に関する実態調査の実施ならびに福祉用具の利用効果の検証として、利用者の状態と福祉用具利用に伴う生活機能等の変化を継続的に把握するため、調査対象利用者について4か月間の「定点観測調査」と、利用者の状態と福祉用具利用に伴う生活機能等の変化について定量的な分析を行うことを目的とした「振り返り調査」を実施致しました。調査結果からは、福祉用具を利用することにより、自立支援や介護負担軽減、意欲の向上といった利用の目標が達成されていること、の維持や生活における満足度の向上、といった観点から、高齢者の自立支援に資するものである可能性が示唆されました。また一方で、福祉用具貸与をはじめ、介護サービスの効果を客観的に評価することは難しく、サービスを利用していない場合との比較が非常に困難であるという課題も浮き彫りとなりました。今後も継続的なデータの蓄積と分析を行い、ご家族やご利用者等に利用の効果を示すよう「見える化」するなど、データの活用方法も含めて、長期的な視点での検討が必要であると考えます。本報告書が、福祉用具の利用効果に対する国民ならびに関係者の理解を深めるとともに、適切な選定、利用の普及促進を図り、利用者の生活の自立度、の向上とともに、適切な介護保険制度利用に活用されることを期待致します。最後に、本調査の企画及び実施にご指導賜りました検討委員の皆様並びに、アンケートやヒアリング調査にご協力を頂きました福祉用具貸与事業所の皆様に心から御礼申し上げます。平成30年3月一般社団法人日本福祉用具供給協会