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88トを掲載した。価格設定については、これまでは福祉用具の調達コストを踏まえつつも最終的な価格は前例踏襲の傾向が強いとみられてきたが、本調査では福祉用具貸与サービスを行うための共通経費も含めて調達コスト以外のコストの構成も把握し、その内訳構成は一様ではなく多様性に富んでいることを把握した。これを踏まえて「価格設定」については一般的な価格設定の考え方に基づいて、検討のプロセスから見直す視点を示した。また、この考え方に即して価格設定についても「コスト意識」を普及させることをねらいとして、事業者がそれぞれの事業の成り立ちを踏まえて、コストに結び付く要素を独自に自己点検できるチェックシートを作成した。今後の課題福祉用具貸与事業所におけるサービスの質の水準や、サービスプロセスの明確化については、本調査において、指定基準や既存のガイドライン項目等を収集、再構成してガイドラインとして整理した。また、福祉用具貸与の適正なサービスを実現するための標準的な実施項目と、標準を超えてより高いレベルのサービスにつながる実施項目について、一定の区分を示した。今後は、ガイドライン全体としての項目の網羅性について、より幅広く検証し、充実を図るともに、項目の記載内容についてもより精緻化し、完成度を高めていく余地があると考えられる。また、本ガイドラインでは、「指定基準項目」「標準項目」「推奨項目」の3つの区分を設定しているが、この区分設定について、多様な事業所の実態を踏まえて妥当性を検証するともに、事業所の属性や地域特性などに応じた場合分けなど、より精緻な評価を可能とすることも想定される。さらに、適正なサービスを提供するための事業所の基盤整備や人的資源の投入など、コストへの影響を勘案し、サービスプロセスの実施状況を価格設定プロセスに取り込む際に、より的確に価格に反映できる考え方の整理が課題となる。福祉用具の価格設定については、自由価格であるために「外れ値」や「価格のバラツキ」などの問題が指摘され、基準価格の設定や上限制の導入の議論がなされてきたが、実態としては上で述べた適正なサービスプロセスの実施内容に基づいた価格の設定であることを分かり易く説明し、社会的な理解を得ていくことが課題である。86