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87まとめと今後の課題本事業の成果本事業では、福祉用具貸与サービスの適正な質が求められる中、適正なサービスを提供するための業務プロセスについて明らかにするとともに、福祉用具貸与の価格設定の妥当性を説明するための資料として、ガイドラインを作成した。そのため、規模や地域の異なる複数の福祉用具貸与事業所(3事業所)を対象として、ヒアリング調査を実施し、サービスプロセス及び価格設定の実態について聞き取り調査を行った。さらに、全国の福祉用具貸与事業所2000事業所を対象として、事業所運営にかかるコスト構造に関する実態把握を行い、事業所の人員体制、価格設定の考え方、教育研修の実施状況、事業所運営にかかるコスト構造値等について把握した。また、サービスプロセスを明確化するにあたり、サービスの基準を整理する際の根拠として、指定福祉用具貸与事業所の指定基準をはじめ、関連する福祉用具貸与サービス提供のガイドラインやサービスの評価に用いられる項目を収集した。これらの結果を用いて、貸与事業所におけるサービスの質を具体的な実施項目として整理した「サービスプロセスガイドライン」と、適正な価格設定のプロセスについても明確化し、サービスの質を反映した価格の設定やその妥当性の説明に資する「価格設定ガイドライン」を作成した。「サービスプロセスガイドライン」では、まず、福祉用具貸与サービスの適正なサービスの質については、福祉用具貸与サービスとして、「利用者に対して過不足のない適正なサービスを提供するための標準的な業務実施内容」として捉えることとした。具体的には、指定基準、既存のガイドライン、業務評価項目等を集約し再整理した業務プロセスの各項目が、福祉用具貸与サービスにおいて、指定基準上必ず実施が求められるものであるか(指定基準項目)、義務付けはされていないが標準的な業務内容として実施すべきとみなされるレベルであるか(標準項目)、あるいはより質の高いサービス提供のために実施されることが推奨されるレベルであるか(推奨項目)、という3つのレベルに要求内容の水準を区分した。レベル設定については、規模、地域、特徴の異なる福祉用具貸与事業者4社による小規模アンケートにより妥当性を検証した。サービスプロセスガイドラインは、福祉用具貸与事業所として適正な質のサービスを提供するための望ましい業務の実施内容を示し、事業所における業務プロセスに関する自己点検表として活用できるものとするため、項目毎に、項目の要求レベル(指定基準項目、標準項目、推奨項目の3段階)を色分けで示し、実施すべき内容を実践する上での具体的な実施方法について、参考情報も合わせて示す形とした。また、巻末に自己点検用のチェックリス85