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72経営方針と外部環境条件の考慮本年度の調査では、福祉用具貸与サービスの価格設定時に重視されるのは「仕入価格(=調達コスト)」及び「地元他事業所の貸与価格と自事業所の過去の貸与価格(=競争条件)」であり、実際には(1)で紹介した一般的な価格設定のモデルのうち1)原価を考慮して決める方法と、3)競合状況を考慮して決める方法が組み合わされていると考えられる。1)については4−3.でコスト構成を検討したところであり、ここでは競合条件を考慮した価格設定の考え方、特に、市場価格に即して決定した価格に適合するように原価を調整するモデルを検討しておく。2つのコスト調整モデルこれまでに検討してきた福祉用具貸与サービスの価格設定モデルは図のように模式化できる。図価格設定モデル模式図福祉用具調達コスト福祉用具の利用に係るコスト福祉用具貸与サービスとしての共通経費(サービスインフラコスト)・福祉用具調達コスト:福祉用具減価償却費、物件費(福祉用具購入費)、委託費(レンタル卸利用料)・福祉用具利用に係るコスト:アセスメントからプラン作成、モニタリング、消毒・保守までの人件費・貸与サービスとしての共通経費:販管費、在庫コスト、機器廃棄コスト、土地・建物コスト(賃料、減価償却費)、教育・研修費、広報・広告費、輸送に係る経費福祉用具貸与サービスの価格を、競争環境(市場の価格水準)を考慮して設定した場合、サービス提供に要したコストの積み上げが設定価格を超えてしまう場合には、コストを調整する必要が生じる。この場合、コスト調整の方法として以下の2つのモデルが考えられる。(コアサービスコスト)コストの積み上げによる価格設定70