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69標準的な価格設定プロセスの検討ここでは、標準的な価格設定の考え方に即して、福祉用具貸与サービスにおける価格設定のあり方について検討する。まず(1)では、一般的な価格設定のモデルとして、中小企業総合機構が整理している価格設定の考え方を引用して紹介する。(2)以降では、本調査で把握した福祉用具貸与事業のコスト構成の特性を価格設定のモデルに当てはめ、あるべき価格設定プロセスを検討する。一般的な価格設定のモデル以下では、一般的な価格設定のモデルとして中小企業総合機構が「J-Net21中小企業ビジネス支援サイト」http://j-net21.smrj.go.jp/common/help.htmlで掲載している価格設定の考え方を紹介する。価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者(サービス利用者含む。以下同じ)にとっては価格が商品の価値や品質を「判断するモノサシ」となり、購入する際の意思決定の決め手となるものである。すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってそのつど決めていると考えられる。したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は売れず、逆に感じる価値が価格より高ければその商品はヒットすることになる。しかし、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設定を行うと、会社経営が維持できなくなる可能性もある。これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売すると損をする下限の価格と、消費者が購入してくれる上限の価格の範囲内で決まることになる。価格は、前述の設定可能範囲のなかで需給の動向、競合状況などさまざまな要素が加味、集約されて決定されるため、絶対的な設定方法はないが、通常は原価・需要・競合状況のつの要素を踏まえたうえで価格が決められている。以下では、価格設定に関する一般的な考え方を整理しておく。原価を考慮して決める方法商品・サービスを提供する側に立った考え方で、価格がいくらであれば原価を回収して適切な利益を得ることができるか、ということを考慮して価格を決める方法で、一般に次の方法がある。67