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56福祉用具貸与サービスの事業コストの特性把握物品賃貸業の事業コスト構成との比較福祉用具貸与サービス事業の特性を把握するため、貸与サービスという点で業態として類似性が高いと考えられる物品賃貸業(日本標準産業分類)のコスト構成と比較することで、コスト構成からみた事業モデルの特徴を把握した(表)。なお、物品賃貸業のコスト構成は平成27年度中小企業実態基本調査の結果を用いた。以下では、主なコストの項目別に福祉用具貸与サービスの特徴を見ておく。なお(1)では、福祉用具貸与サービスの事業モデルを、実態調査で把握したレンタル卸の利用割合に着目して3タイプ【@レンタル卸比率9割超×単独事業所(以下ではレンタル卸型という)、Aレンタル卸1〜9割×事業所数2〜10か所(以下では折衷型という)、Bレンタル卸比率1割以下×事業所数11か所以上(以下では自社調達型という)】に分類した(表24参照)。ここではこの3タイプの事業コスト構成の違いも見ていく(表28)。【人件費比率】?物品賃貸業の13.9%に対して福祉用具貸与サービスは全体では38.1%であり、人的サービスのウエイトが大きい業態であることがわかる。(表)?タイプ別では35.2%(レンタル卸型)〜41.5%(自社調達型)の幅がある。→利用者に直接対応する場面では、アセスメント、用具選定、サービス計画書策定、モニタリング、他のサービス・多職種との連携など、多くの人的サービス活動があり、人件費比率の大きさに反映されている。(表)→また、利用者に対応するサービスの時間だけでなく、継続的に新たな利用者を確保するための様々な情報収集、介護支援専門員はじめ他の介護サービスとの連携など、サービス実施に関連する種々のサービス、社会資源間の調整活動に係る人件費も人件費比率の大きさに反映されている。→福祉用具を自社調達する割合が高まると「その他人件費」の比率も拡大する。【減価償却費比率】?物品賃貸業の7.5%に対して福祉用具貸与サービスは全体では5.0%であり、減価償却の対象となる資産保有は物品賃貸業より少ない値にとどまっている。(表)?タイプ別では1.7%(レンタル卸型)〜5.3%(自社調達型)の幅がある。(表)→福祉用具レンタルサービスは物品賃貸業よりも、保有する商品や設備にかかるコストの割合が低い業態であることを示している。54