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はじめに本調査は平成28年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)の補助を得て、一般社団法人日本福祉用具供給協会が実施したものです。福祉用具の貸与は、介護保険制度創設時から、他のサービスとは異なり、市場競争の中で事業者が価格を決定するという自由価格制をとってきています。これまでの貸与価格は、給付件数の増加に反比例して、1件当たりの費用額は減少しています。しかしながら、一部に極端に高い価格の設定やバラツキが見られ、これらの改善策として、平成28年12月の介護保険部会では「上限制」の導入が決定されたところです。福祉用具サービスが自由価格であるため、価格の内訳や価格設定の「見える化」、福祉用具の貸与価格設定の妥当性の説明が求められています。本調査ではこのような問題意識に基づき、貸与価格のコスト構造が多様であることを明らかにするとともに、適正なサービスの質の定義づけを行い、貸与事業所におけるサービスの質を具体的な実施項目として整理した「サービスプロセスガイドライン」と、適正な価格設定のプロセスについても明確化し、サービスの質を反映した価格の設定やその妥当性の説明に資する「価格設定ガイドライン」を作成しました。これらのガイドライン等は、福祉用具貸与事業所が提供するサービスや体制、設備等の整備状況が事業所毎に異なること、サービス内容の状況、設備等の整備状況が各事業所のサービスに見合う福祉用具貸与価格の根拠となることを示す資料として活用されることを意図したものであり、福祉用具貸与サービスが単に福祉用具を貸与するだけではなく、利用者の状況に応じて適切な福祉用具が適切に利用されるために、福祉用具専門相談員による人的なサービスや福祉用具のメンテナンス、それを実現するための事業所運営の体制整備等のさらなる質の向上を目指すことを目的としています。本報告書が、福祉用具サービスに関する問題意識の共有を促し、今後の福祉用具業界の健全な活動に活用されることを期待するものです。最後に、本調査の企画及び実施にご指導賜りました検討委員の皆様並びに、アンケートやヒアリング調査にご協力を頂きました福祉用具貸与事業所の皆様に心から御礼申し上げます。平成29年3月一般社団法人日本福祉用具供給協会