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955-2.サービスの質向上に向けた事業所のあり方について調査結果を踏まえ、福祉用具貸与サービスの質の向上に向けて、以下のような示唆が得られた。(1)法人規模の小さい事業所における質の向上の工夫?法人の規模が大きい事業所では、法人内あるいは事業所内での人材育成の体制が整備されており、サービスの質向上に向けた取り組みを比較的実施しやすい環境にある。一方で、1事業所のみの場合には、こうした組織的な対応が難しい面がある。?しかしながら、法人規模の小さい事業所であっても、地域における介護サービス連携の特性に応じて必要な役割をはたすことは可能である。例えば、地域における競争環境を踏まえて、施設からの在宅復帰からリハ訓練まで一貫して支援することや、利用者の個別性への高いレベルでの対応力を持つこと、住宅改修との一体的サービスなどの得意分野を作り、事業所の特色を活かした質の高いサービス提供を目指すことが重要であると考えられる。?特に、介護支援専門員との連携の観点から、地域の中で密な連携を保つといった事業所の方針や特徴をアピールする方向も考えられる。(2)介護支援専門員による利用者本位の適切な評価、事業所の選定?介護支援専門員を対象としたアンケート調査、ヒアリング調査結果より、介護支援専門員が福祉用具貸与事業所を選定する際に重視する点について明らかにした。介護支援専門員においては、特定事業所集中減算を回避する意識もあり、利用者の状態、状況に即してそれに合致する特性を有する事業者を選定する意識がみられる。?アンケート調査では、介護支援専門員が「即応性」を重視する傾向が際立っていたが、ヒアリング調査では、現場の状況としては、必ずしも品揃えの豊富さや納品の即応性ばかりが評価されるわけではないことも示された。?利用者本位の自立支援を目指したケアマネジメントを行う介護支援専門員は、福祉用具専門相談員にも、個別の利用者の状態、状況の評価、それに合わせた用具の選定と、それをきちんと説明できる説明力を期待していると言えるのではないか。?福祉用具貸与事業所としては、そうした能力のある福祉用具専門相談員を体系的、継続的に育成することが求められる。?日常的な業務のレベルでは、繁忙な介護支援専門員の円滑な業務遂行を支援する意味での円滑、迅速な連携が維持されることが期待されており、組織的に連携、連絡体制の維持が担保される事業所の評価が高くなると考えられる。