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はじめに本調査は、平成27年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)の補助を得て、一般社団法人日本福祉用具供給協会が実施したものです。現在、福祉用具貸与事業所が提供するサービスの内容は、介護保険制度で給付すべきサービスとして一定の規定がなされていますが、事業所の運営形態に関しては、福祉用具レンタル卸の活用のし方など、提供する福祉用具の調達方法による多様性がみられます。また、従業者数で見た事業所の規模に関しても、数名で運営する小規模事業所から100名以上のスタッフで組織的に運営される大規模事業所まで大きな幅があります。福祉用具貸与事業所のこうした運営形態、組織規模の違いは、それぞれが提供するサービスの違いとなって現れており、このような差異は福祉用具貸与事業所の特徴あるいは個性として捉えられている面もあります。その一方で、介護保険サービス全体の質の確保が求められている中では、これらサービスの在り方を含めた福祉用具貸与サービス全体の質の確保について、体系的な検討を行う必要があります。こうした問題意識に基づき、本調査では、福祉用具貸与事業所が提供するサービスの質についての考え方の整理を行い、さらには全国の福祉用具貸与事業所が提供しているサービスの実態を、運営体制、人員配置体制との関連から把握するため福祉用具貸与事業所と居宅介護支援事業所の両面からの実態調査を行いました。その調査結果から、福祉用具貸与事業所と介護支援専門員が福祉用具サービスに関して重視する項目はほぼ一致しており、「迅速なサービス提供を行う即応性」や「介護支援専門員との連携」を重視する事業所が多く、また介護支援専門員は、利用者の状態、状況に即してそれに合致する特性を有する福祉用具貸与事業所を選定するということも明らかになりました。本調査では、これらを整理するとともに、サービス体制の課題を抽出しました。以上の結果をまとめた本報告書が、サービス提供体制に関する問題意識の共有を促し、今後の資料として活用されることを期待するものです。最後に、本調査の企画及び実施にご指導賜りました検討委員の皆様ならびに、アンケートやヒアリング調査にご協力を頂きました介護支援専門員や福祉用具貸与事業所の皆様に心から御礼申し上げます。平成28年3月一般社団法人日本福祉用具供給協会