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はじめに本調査は平成26年度老人保健事業推進費等補助金(老人保健健康増進等事業分)の補助を得て、一般社団法人日本福祉用具供給協会が実施したものです。現在、介護保険制度の改正について社会保障審議会介護保険部会で検討されていますが、福祉用具貸与サービスについては介護給付費分科会において「専門的知識及び経験を有する者の配置を促進していくことについて検討」との方針が示されています。しかし「専門的知識及び経験」の具体的な内容は示されておらず、配置すべき人材の具体的な内容は今後の検討課題となっています。一方、現在の福祉用具専門相談員の研修カリキュラムは平成26年6月に変更されており、福祉用具専門相談員の役割への期待も変化すると考えられます。介護保険制度の円滑な運用の観点からは、居宅介護にかかわる他職種が参加してサービス内容について協議するサービス担当者会議での検討の質を高めることが重要であり、福祉用具専門相談員もそうした場において専門性を確立することが期待されています。他職種と連携しつつ介護サービス全体の質を高めることに資する「専門的知識及び経験を有する者」の具体的な人材像を検討するためには、現在の福祉用具専門相談員の業務の実態、他の職種との連携において果たしている役割、それに対応できる人材育成の実態を併せて把握しておくことが重要です。こうした問題意識に基づき、本調査では、全国の福祉用具専門相談員の人材育成の実態を業務の実態との関連から把握するための実態調査を行いました。その結果、介護支援専門員から信頼を得ている経験豊富な福祉用具専門相談員が数多くいることが把握され、評価されている知識、能力がどのようなものであるかを整理しました。また、今後のケアマネジメントでさらに重視される多職種との連携の場において、福祉用具に関する専門職としての知見に基づく情報提供、福祉用具選定の主体的な提案が期待されていることも把握されました。これらの結果をまとめた本報告書が、今後さらに福祉用具専門相談員に求められる専門性について検討を進める際の資料として活用されることを期待するものです。平成27年3月一般社団法人日本福祉用具供給協会