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21.高齢者介護施設における適切な福祉用具利用の意義と効果1.1適切な福祉用具利用の意義(1)施設での生活における福祉用具利用の意義【基本的な考え方1:自立支援環境としての福祉用具】・入所している高齢者にとって施設は(施設の特性によって重要性のバランスは異なるが)療養、訓練の場であるとともに生活の場であり、生活環境がどのように整備されているかということは入所者のQOLに大きな影響を与えることとなる。・高齢者介護施設においては入所者のQOL向上の観点から自立支援の環境整備が重要であるが、福祉用具は生活環境整備の重要な要素である。生活環境の一部として福祉用具をうまく活用することで利用者の自立度は大きく向上する。【基本的な考え方2:効果を高める利用体制整備】・福祉用具の多くは自立支援のためのものであり、現在の福祉用具には自立支援のための技術とノウハウが蓄積されている。そうした福祉用具を適切に利用することができれば、入所者のQOL向上に大きく貢献することが期待できる。・一方で福祉用具は、利用者の状態をきちんとアセスメントして適切に選定・適合させて利用されるべきものである。支援目標に即して、利用者の心身の状態変化にも合わせて適切に使用されることで最大の効果が発揮される。・施設においては入所者の自立度を高めるため様々な職種が配置されており、多職種によるチームケアが行われている。福祉用具も各職種の理解を得てチームケアの一環として活用されることでそのメリットを最大に発揮する。【介護老人保健施設における意義】・介護老人保健施設は入所者が居宅での生活も戻るための療養・訓練を行う中間施設であることから、入所者が住み慣れた家で自立した生活できるよう、居宅の生活環境を想定した生活を組み立てることが重要となる。・そのためにまずは、施設での療養・生活で自立度を高めることが重要であり、適切な福祉用具を選択することで施設内での自立度を高めることができる。・さらに居宅に戻った環境でも自立した生活を継続できるような指導を行うことも重視される。そのために、入所中から居宅で利用できる福祉用具に慣れておりことで居宅での自立度を高めることができる。・こうした経過を経て、退所時には福祉用具を利用した生活行動が関係者に情報提供され、それを踏まえた介護サービスが提供されることが望まれる。