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693)関係機関・職種との連携の在り方2)で指摘したような体制整備を実際的なレベルで検討すると、まずは施設と福祉用具貸与事業所、福祉用具専門相談員との連携を検討することが現実的と考えられる。この連携により、いつでも相談できる体制と、福祉用具に関する定常的な最新情報インプットが期待できる。また、施設のケアマネジャーとの連携体制も重要である。定期モニタリング時に福祉用具利用の状態確認も定型化するなど、効果的な福祉用具利用で発生するプロセスを意識して、ケアプランに反映されることが重要である。(3)今後の課題1)普及・啓発(福祉用具導入手引書の活用)本年度の実証事業では、新たな施設での活用も試み、その成果を踏まえて施設における福祉用具導入の手引書を作成した。介護老人保健施設と介護老人福祉施設の特性も考慮した導入手順、管理・運用の手順を導入・運用マニュアルの形に整理したので、今後は全国の高齢者施設でこれを活用し、福祉用具導入の効果を実感していただくことが重要となる。これまでは地域の事業者による個別のネットワークに頼ったサービス導入の働きかけであったが、実証事業により一定のデータが蓄積され、普及のためのマニュアルも作成されたことから、高齢者介護施設の全国組織にも働きかけるなどして、施設における福祉用具利用を組織的に促進することが今後の課題である。2)施設に適した福祉用具サービスの開発今後は多くの施設での福祉用具利用体験が普及することで、施設としての利用ノウハウとサービスに対する評価が蓄積する。そうしたノウハウ、評価を、福祉用具サービスに反映させることで、施設の運営の観点からもより使いやすく効果的なサービスが開発されることが期待される。実証事業では居宅向けに開発されたレンタルサービス(一品単位でのレンタル契約)をそのまま導入したが、利用する福祉用具の数がまとまれば、一括したメンテナンスサービスも含めた施設向けの包括的な契約なども検討の可能性が出てくると考えられる。福祉用具事業者側でもこうした新たなサービスのあり方を検討し、サービス開発に取り組むことが今後の課題である。