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654.まとめと今後の課題(1)実証事業結果のまとめ今回の実証事業から、以下のことが把握できた。1)利用者の変化について今回の実証事業では、平成24年度における実証事業と同様の枠組みで、介護老人福祉施設、介護老人保健施設といった高齢者施設においても、福祉用具貸与事業者が提供できる多様な機種の福祉用具の中から、自立支援に向けた用具として、車いす(付属品含む)と床ずれ予防用具について、利用者い適合したものを選定し、利用していただいた。導入、利用に際しては福祉用具専門相談員からの提案、アドバイスなど種々の情報提供も行った。この結果、介護老人福祉施設、介護老人保健施設のいずれにおいても、身体的な問題点や使用する環境に適合した福祉用具を用いることで状態が改善する事例が、FIM(機能的自立度評価)、日常生活行動、総合評価のいずれかが改善されたケースが全体の90%近くとなった。改善事例は、車いす、床ずれ防止用具、いずれの利用ケースでも観察された。また、施設種類を問わず、実証事業に協力したいずれの施設でも観察された。24年度からの継続の施設、新たに協力いただいた施設においても差は見られなかった。こうした効果は、施設管理者のほか、介護職員、看護職員、機能訓練指導員等の施設スタッフからも認められており、福祉用具利用の選択の幅を拡げることが入所者の自立支援に一定の効果が得られることの評価が得られた。2)施設における福祉用具利用に対する意識の変化今回の実証事業への取組とその成果を踏まえて、施設においては、以下のように福祉用具についての知識を得たことによる関心の高まり、その利便性、自立支援への効果、今後の活用等に関する認識の変化が見られた。変化の内容としては、以下のような回答があった。【介護老人福祉施設】・利用者個々の状態にあった福祉用具の選定をすることが重要であることが理解できた。・一人ひとりの入居者をよく観察するようになり、ADLの低下に伴いその人に合った福祉用具を調整したり、使いやすさなど不具合などの点検も出来るようになった。・利用者個々の福祉用具の選定についてのポイントや管理方法などについて指導していただき、多職種のスタッフでカンファレンスなど行い、全員の意識が高くなり、よい変化につながった。・福祉用具事業者とのメンテナンス契約を検討してみてはどうかと考えるようになった。