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57【介護老人福祉施設】・車いすの変更やクッションを使用した事で座位姿勢が保たれ、臀部の表皮剥離が治癒された。その事からも個々にあった福祉用具を使用した効果を確認する事ができた。又、車いす使用者の傾きが直り不安気な表情が少なくなった事例も見受けられた。・施設福祉用具は一般的なものが多く、入所者一人ひとりに最良の福祉用具を提供することは難しい。入所者の活動状況や体調には変化があり、多種多様な福祉用具を選択出来るようになれば入所者の自立支援方法の選択枝が増すと思われる。・車いすに関しては施設にあるものは、個人に合わない所が多く、変形の原因となりかねない。個人に合ったサイズや補助具を使用できれば、変形の予防も出来、自力駆動の可能性も増えれば、その他のADL拡大につながる可能性がある。調整については注意しなければ変形を作ったり、事故が起こる可能性があると思いました。機能訓練指導員【介護老人保健施設】・個々に障害像があり、その人に合った福祉用具を選択し、調整や適合を重ねて評価することで生活範囲の拡大とADLの幅が広がっていくと感じた。ただし、多種多様の福祉用具を使用してしまうと操作性が単純・単一化していないので使用する側が混乱してしまうことも学んだ。・現在福祉用具レンタルは在宅サービスでの利用しかなく施設サービスでの利用が出来ればよいのではと考えていた。今回利用者に対して福祉用具業者(専門的立場)からの意見を聞き、福祉用具の変更をスムーズに行う事ができよかったと考える。施設備品での福祉用具対応では在庫の管理・備品個数の問題等があるが、今回実施した対応が可能であれば前述内容が改善され利用者に対してより良い福祉用具の提供が行われるのではないかと考える。・選択肢の幅が広がるのはとても大事なこと。適合しない道具を使い続けることが機能低下につながること、適合する道具が機能向上につながることを再認識した。トータルで考えると、施設内レンタル(欲を言えば病院内レンタル)を行うことで、介護保険費用の削減につながると考えられる。・褥瘡を形成した初期段階で高機能のエアマットを利用することができたことで、その利用者は早期に褥瘡が治癒し、離床して車いす座位の段階にスムーズに移行する事ができた。当施設に入所される利用者は重度の方が多く、身体状況を評価して、ティルト・リクライニング型車いすが必要と判断されても、施設には在庫が少ないため、ベッド上で寝たきりとなってしまう利用者が近年は増えている印象を受けている。今回のモデル事業のように、利用者の状況にあわせて車いすを準備できたことで、利用者の生活が寝たきりの状態から段階的に車いす座位での生活に移行できると思われる利用者は多いので、施設での福祉用具レンタルの制度は必ず必要だと思います。特に、介護老人保健施設では個別リハビリの時間は病院と違って少ないですが、生活の視点をもった療法士が多く存在する為、有効な手段となるのではないでしょうか。