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832)福祉用具の運用・管理のあり方自立支援をねらいとした福祉用具利用を進めるためには、1)で示したような利用者の変化に対応できる運用・管理の体制整備が重要となる。施設内の体制整備と合わせて、今回実施した福祉用具貸与事業者(=福祉用具専門相談員)の活用など、外部資源の効果的な活用が検討されてよいのではないか。こうした福祉用具管理運用の体制整備にさいしては、施設内での体制に基づいた基本手順の整備だけでなく、非定型ケースへの対応なども想定して、導入・管理の手順を整備する必要がある。また、管理・運用のコスト感覚、すなわち施設としてのコストメリットを明確にするとともに、それを実現するための運用上のポイントが意識されることも重要である。3)関係機関・職種との連携の在り方2)で指摘したような体制整備を実際的なレベルで検討すると、まずは施設と福祉用具貸与事業所、福祉用具専門相談員との連携を検討することが現実的と考えられる。この連携により、いつでも相談できる体制と、福祉用具に関する定常的な最新情報インプットが期待できる。また、施設のケアマネジャーとの連携体制も重要である。定期モニタリング時に福祉用具利用の状態確認も定型化するなど、効果的な福祉用具利用で発生するプロセスを意識して、ケアプランに反映されることが重要である。(3)今後の課題1)調査研究手法(モデル事業)の制約、限界本年度は、施設における福祉用具貸与サービス利用の初の試みであり、福祉用具利用者からの働きかけに同意された施設での試行となった。その点では、ある程度、福祉用具貸与事業者との交流接点のある施設での試行となった。福祉用具貸与サービス利用による自立支援への取り組みをより一般的なものとするためには、より一般的な施設の利用でも同様の結果が得られるか検証する必要があり、より一般な施設が参加できる形での実証事業の展開を検討する必要がある。また、実証事業の実施期間にも制約があった。初めての試みであったため、対象施設・利用者の選定、利用者の同意の確認など準備に時間を要し、実質的な福祉用具の利用期間が3ヶ月程度となった。この期間でも一定の効果は観測できたが、もう少し実証期間が取れれば、より実質的な効果も検証できた可能性があり、充分な期間を確保した実証事業での検証が期待される。