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4ヒアリング調査結果のまとめリハ専門職が福祉用具利用に積極的に関わっている介護老人保健施設(3施設)へのヒアリング調査結果を整理して、先進施設における福祉用具の活用の取組の特徴を以下にまとめました。●福祉用具導入の計画性■「ベッド、車いすを中心に入所者に適合できるものを充実させる」「入所者の変化にタイムリーに対応するために車いすの数を充実させる」など、福祉用具活用の方針とそれに即した調達のパターンがある。■退所、入所時の福祉用具の調達を円滑にするため、福祉用具貸与事業所を併設している例もある。●福祉用具の管理■福祉用具を管理する部署(組織)と管理の方法が明確になっている。■管理部署は施設の組織構成に応じてしかるべき部署が担当しており、施設により異なる。■管理方法は、施設運営の特性、考え方に即して業務の中からやりやすい方法が工夫されている。■月単位くらいで状況確認している。●施設内研修■定期的な施設内研修が行われている。■ケアミーティング等日常業務の中で福祉用具利用のノウハウに関する情報を交換できる工夫がある。■これらを通じて、施設職員全体が福祉用具に関して一定レベルの知識を保持している。●リハ専門職の役割と施設スタッフの役割■「予後予測をしてリハビリテーション計画を策定する」など、リハ専門職の基本の立ち位置はあくまでもリハビリテーションにある。■リハビリテーションとケアの関係づけ、目標設定など、ケアとの接点を重視している。■その観点から福祉用具の適用判断がなされ、利用方法が指導される。■入所者の状況確認は介護スタッフの役割であるが、研修等で福祉用具の知識も高めることで、福祉用具の利用状況確認も合わせて行えるようになっている。●福祉用具貸与事業所との連携■福祉用具事業所と密度の高い連携を実現している(貸与事業所を併設しているなど)。■連携形態の違いは各施設の機能的特性や運営の方針によるところが大きい。■貸与事業者は施設内での福祉用具にかかわるだけでなく、入所者の入所・退所に密着して施設の中から外、外から中へ移行するフェーズでの対応に重点がある。■こうしたケース対応だけでなく、定期的な接点を持つことで事業所が福祉用具に関する最新情報を継続的に提供する役割も重要視されている。●入所時・退所時の関わり■リハ専門職は入所・退所に際して、次の移動先の居住環境を事前に確認し、移動後の生活環境が移動前と断絶しないよう配慮し、環境整備(=福祉用具活用)に注力している。■環境整備が円滑に進むよう、福祉用具事業者もこのフェーズで密接に連携している。●福祉用具活用のポイント■入所者の個別特性に対応する観点から、在宅と同様に福祉用具をレンタルできることが望まれている。■入所、退所等移動の前後でも居住環境を一定に維持するため、福祉用具の柔軟な利用が重要となっている。■施設における福祉用具活用は、多様な福祉用具を施設へ供給することだけでなく、入所、退所といった変化に柔軟に対応する供給の仕組みを有することも重要である?8?